虚構に生きる

高二中二小二のあの頃の気持ちに戻ろうというコンセプトなのです。

もう少し乳首を吸わせてやればよかった。

三度の飯よりセックスが好きそうなこの男は、私の乳首を赤ん坊のように舐りながら、ねぇ気持ちいい、なんて気持ち悪い事を聞いてくる。


喘いでみたり、悶てみたり、はたまた流し目を使ってさも感じているていで男の欲情を誘う。愛してくれるから。そうすると、愛してくれる。

愛だ恋だとのたまう程には若くなく、婚期が、金だと嘆かない程には若い。それでも、そういった仕草をするとこの男は一層興奮して、胸を貪って、硬くいきり立った醜いソレを私のアソコに押しあてながら、早く入れて欲しいかと、やっぱり気持ち悪いことをにへら笑いしながら聞いてくる。そういった一連のルーチンが、私のこの年齢での愛という形である。


うん、で挿入すれば事は早いが、じゃあどうして欲しいか言ってごらんと続いた日には、もし私にアンタの醜いソレが付いていたら確実に萎えているだろう。

とまれ、とまれ私は、時々萎えながら、乾いたコンドームを破かせながら、愛を語ったりした。


些細な事で喧嘩をして、なんだか感傷的になって泣きながら謝っている顔を眺めてると、そんなブサイクな造形だったのかと笑いそうになるを堪えるので精一杯になる。幸いなことに肩の震えや、鼻から漏れ出た息がシリアスなシーンにマッチするらしい。私の思いが伝わることはなかった。そんな感傷に浸ってないでローションを潤沢に使ってコンドームを破かずにセックスしてくれ。


そんな所謂愛情表現を何十回か繰り返した時に生理が遅れて、まるで女同士で話すような気軽さでポロと零したら何だか面白いぐらいに顔色が悪くなって、二言三言当たり障りのない会話をした後は逃げるようにして帰っていった。

それから本当に逃げた。

あんなクソみたいな些細な事でイラついて喧嘩して、大事にするからとか泣きながら抱きしめてきた男が着信拒否をしてダンマリを決め込んでいる。


もう少し乳首を吸わせてやればよかった。

もしかするともう少し乳首を吸わせたら彼は赤ちゃんでなくなったかもしれない。


私はしばらくしたら別の赤ん坊とルーチンをこなすだろう。今度は少し婚期を意識しながら。